東日本大震災復興支援歌「まけないタオル」 |
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和尚さんのさわやか説法228
曹洞宗布教師 常現寺住職 高山元延 |
あの三月十一日からもう四ヶ月が過ぎ去った。
当八戸地方においても、海岸線の地区、そして住民、漁業、農業、工業関係の方々には甚大な被害をうけ、今なお傷跡は回復していない。
そしたまた岩手県、宮城、福島県の被害は言語を絶する惨状であり、その被災者は、死者一万五千余人、不明者五千三百余人、そして避難転居者は十万人以上を数える。
その中には多くの寺院の住職や家族もおられる。
私の本山時代の修業仲間であり、友人でもある宮城県の住職は、地域の皆さんをお寺の高台に誘導していて、最後に波に呑まれたという。
その友人は脚に「障がい」があり、足を引きずりながらも、修行に耐え、正座や坐禅を克服して石巻市雄勝町の寺院住職となった。
一昨年宮城県同地区での私の特派布教説法の際、わざわざ宿泊地を訪ねてきてくれ、久しぶりの再会に旧交を温めたあの時、あの笑顔、破顔一笑の姿が鮮烈に思い出され、こうして原稿を書きながらも涙がこぼれくる。
一途な男であり、仏教者であった。自分のことより人のことを考えるまさに御仏様のような僧侶であった。
あの三月十一日午後二時四十六分の大地震のあと、大津波が襲ってくるとのことで、地域の檀家さんや、住民をお寺の上にある高台に避難させる為に「早く上がれぇー。早く上がれェー。」と叫んでいたという。
自分に「障がい」があることも忘れて、必死で誘導していた。皆なは、急いだ。懸命に坂を登った。
ところが最後に残ったその男は足を引きずっていたのである。「和尚さん!!早く早く」「和尚さん早く上がれやぁー。」との皆なの呼び声は、せまりくる大波に呑まれた瞬間、声にならない悲痛な叫び声に変った。
その男は濁流に沈んだ。そして海に持っていかれたまま今なお家族のもとへ、檀家さんのもとへ帰ってきてはいない。
そう!!あの不明者五千三百余人の中の一人なのだ。
きっと彼は浄土の国でくったくのない笑顔で、被災物故者の方々を導いているにちがいない。
今、岩手、宮城、福島の各宗各派の寺院、また神社、キリスト教会もまた被災し、被災をまぬがれた神社仏閣教会は、地域の避難所ともなっている。
それも生きている人間ばかりの避難所ではない。亡くなった人達の避難所でもあるのだ。
震災直後は、それぞれの御遺体の避難所であり、今はお骨になった方々の避難所であるという。
そういう中で僧侶も宮司も牧師さんも人々の心を癒し、人々を励まし続けている。
そしてまた、その励ましている僧侶さん達を励ます僧侶が全国から被災地に被災寺院に集結している。
皆さんは「まけないタオル」というタオルがあることを知っているだろうか?
市内で知っている人は過日五月二十六日、八戸市公民館で開催された「花まつり仏教チャリティーコンサート」に来場された方であろう。
この「まけないタオル」はすごいタオルなのだ。
普通のタオルより短めの50㎝。
だから首にも巻けない頭にも巻けない。そんなタオルである。
—でも—
—それだから—
「まけない」「負けない」「私は負けない!!」「私達は負けない!!」そんなタオルなのだ。
ガンバレ!!ガンバレ!!と言われても、愛する人を亡くし、愛する家族を失い、家も土地も皆な失くなってしまって、もうガンバレないよ!!ヘコたれそうだよぉー。
そんな時、この歌が聞こえてくる。
『♪ まけないぞ。まけないぞ!!
首にも頭にも、まけないタオル 半端じゃないぞ。
泥にまみれて 明日が見えなくなっても
まけないタオルが 拭ってくれる。
ほら 笑顔と一緒に明日が来るのさ
まけないぞ まけないぞ 夕陽にまけない
紅い血潮が
流れている限り』
これは、東日本大震災復興支援歌「まけないタオル」一番の歌詞である。
このダジャレ的で、フッと笑えながらも、温かさが込められたタオルであり、巻けないからこそ心を包んでくれるそんなタオルなのだ。
実物は、白地に青地の背景に「まけない」と白の太字で書かれてある。(同ページ参照)
その意味は青い空に浮かぶ白い雲で「希望」を表現しているとのことである。
この発案者は山形市在住の和尚さんで、今は気仙沼市のお寺を拠点にチームを作り、ガレキ処理から避難所の炊き出し、人々の心のケアまで、あらゆるボランティア活動を一手に引き受けている方である。
また作詞者は宮城県の亘理郡山元町に居住し、実際に被災した寺院住職であり、檀家さんの半数以上が消滅したという。
この和尚さんはユニークで言葉使いの達人でもある。
もうかなり以前になるが、新幹線盛岡開業時には、イメージソング「故郷は僕に微笑む」を作詞し、かの「郷ひろみ」の歌ともなっているし、また神戸復興支援CD「そら」を作詞している人でもあった。
彼は今回の自分の被災を顧ず、人々を励ましたいとのことで「まけないタオル」支援歌を作詞した。
この詞に曲をつけたのは、東日本からは遠い奈良県の女性僧侶であり、プロシンガーでもある「やなせなな」さんであった。
つまり発案者も作詞者も皆さん僧侶であった。
この歌は被災地で人々の心を慰め、勇気と希望を与えるということで静かなブームともなっているという。
—そしてまた—
このタオルは一枚千円で全国に販売されこれが義援金となり、共に被災者へ、支援とこのタオルが直接配布されることになっている。
タオルで届けるメッセージ!!
タオルでつながる心と心!!
今、巻けないタオルが、負けないタオルとなって被災地の皆さんの涙をぬぐい、汗をぬぐい傷ついた心をぬぐってくれている。 |
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合掌 |
※もしこの「まけないタオル」をお求めになりたいと思う方は常現寺へ御連絡下さい。(℡22−0767)
あなたの心を、全額義援金として送り、そのタオルをプレゼントします。
そう!!あなたも「チームまけないタオル」のサポーターとなるのです。
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