曹洞宗 魚籃山 常現寺 その壱
曹洞宗 魚籃山 常現寺 その弐
本尊 魚籃観世音菩薩縁起
今から約400年ぐらい前、天正文禄(1592年前後)の頃、我が国に一貴人があり、当時の、日本の戦禍を避けて夫人と共に交趾(こうし)国(安南−現ベトナム北部−)に漂着した。
交趾国の王は貴人たる二人を厚くもてなし、やがて夫妻に女の子が誕生した。その子が6歳の時、両親は相ついで亡くなったが、王様に養育され美しく育ち、王様の妃に迎えられ幸せな日々を送っていた。ところがある日、妃がひとり言(ごと)を言っていたので、心配に思い訊ねたところ、妃は「父母が元気でいた頃、『私達が戦を避け、この地で平和に暮らさせていただけるのは観音様の御力によるものだ、だからお前は観音様をただ一心に念ずるように』と言われた言葉がいまだに耳に残っており、それが、知らず知らずのうちに口をついてお唱えしたのです」と答えた。王様はその話を聞いて深く感じ入り、手づから魚籃観音をお造りになり、それを妃に賜ったのであった。
時は流れ、その魚籃観音像は遠き南の国より日本へ渡った。明治になり西有穆山禅師のもとに至り、そして郷土八戸の地に安住し、当寺のご本尊として安置されることになった。
秘仏ご開帳毎年11月17日。 昭和48年に八戸市文化財に指定。
当寺には御本尊魚籃観音とともにもう一つ穆山禅師の慈光が輝いている。
この地蔵尊は、享保5年(1720)に造られたもので、静岡の修験秋葉山七世了運任宗上人によって開眼したと背部に刻書されている。
そして、穆山禅師のもとに渡った因縁も刻まれている。明治維新の際、廃仏毀釈により秋葉寺が神社となり、この地蔵尊を安置していた源性庵(当時遠州)もその影響を受けて廃寺同様となってしまい、地蔵尊は今まさに鎔解されようとしていた。
これを聞いた当時遠州静岡の可睡斎住職であった穆山禅師は心を痛め、衣資をはたいて手元に奉安し、朝夕礼拝恭敬すること、金剛経百巻、大悲心陀羅尼一万遍、消災咒(しゅ)二万遍、地蔵尊陀羅尼三万遍を読誦し、新たに入魂開眼されたのである。
この地蔵尊は、禅師の実弟笹本長次郎氏の懇請により三戸郡湊村に渡り、禅師開基の常現寺に奉納安置されることになった。五穀豊饒と農業繁栄をもたらすものとして信仰を集めている。
この地蔵尊は、享保5年(1720)に造られたもので、静岡の修験秋葉山七世了運任宗上人によって開眼したと背部に刻書されている。
そして、穆山禅師のもとに渡った因縁も刻まれている。明治維新の際、廃仏毀釈により秋葉寺が神社となり、この地蔵尊を安置していた源性庵(当時遠州)もその影響を受けて廃寺同様となってしまい、地蔵尊は今まさに鎔解されようとしていた。
これを聞いた当時遠州静岡の可睡斎住職であった穆山禅師は心を痛め、衣資をはたいて手元に奉安し、朝夕礼拝恭敬すること、金剛経百巻、大悲心陀羅尼一万遍、消災咒(しゅ)二万遍、地蔵尊陀羅尼三万遍を読誦し、新たに入魂開眼されたのである。
この地蔵尊は、禅師の実弟笹本長次郎氏の懇請により三戸郡湊村に渡り、禅師開基の常現寺に奉納安置されることになった。五穀豊饒と農業繁栄をもたらすものとして信仰を集めている。
曹洞宗 魚籃山 常現寺 その参
金剛力士 吽像(左)と金剛力士 阿像(右)
関頑亭(保寿)作:大正8年(1919)、国立市に生れる。幼にして彫刻家を志しつつも兵役中には「只管打坐(しかんたざ)」を修行する。昭和20年彫刻家澤田政廣に師事する一方、真言宗豊山派管長東京都中野・宝仙寺住職富田純大僧都に密教の伝法を受け托鉢しながら全国を放浪乞食(こつじき)修行をする。作品は宝仙寺の金剛力士像を始め、小金井・寺子屋の観音堂、府中・高安寺の仁王尊像、南紀長島の弘法大師御影堂、姫路・亀山御坊本徳寺(新撰組屯所)の障壁画など仏像、狛犬、絵画、書、彫金、建築設計、てん刻と多岐にわたる。当寺の像は1950年作を原形とし、平成15年、「世界平和・萬民富楽」を願い頑亭氏を尊敬する当寺檀徒小坂明氏より特進奉安された。
曹洞宗 魚籃山 常現寺 その四
首切地蔵(延命地蔵)
四ツ屋の仕置場に「南無阿弥陀仏」の供養碑と共にあったものを明治期に地蔵堂を建立して常現寺に祀ったが昭和52年焼失。処刑された人々を慰霊するため、以後、首切地蔵と呼ばれ本堂入口の御堂に移安している。
曹洞宗 魚籃山 常現寺 その五
南無阿弥陀仏供養碑
明治3年(1766)5月、来迎寺19世燈誉上人が導師となり湊村念仏講中の人々によって建立された。藩政時代に四ツ屋(谷)の仕置場(現小中野小学校)に首切地蔵(延命地蔵)と共にあったものを明治期に常現寺に移した。
魚籃観音碑
上の篆書は幕末の書家・剣豪正四位山岡鐵太郎揮毫。本文文字は大本山永平寺六十二世鐵肝雪鴻禅師揮毫。魚籃観音についての由緒が刻まれている。西有穆山禅師の依頼により揮毫されたもの。明治17年(1884)刻書。