和尚さんのさわやか説法186
曹洞宗布教師 常現寺住職 高山元延

 今年も残すところ、あと十数日となった。
 クリスマスが来たかと思うと、すぐさま新しい年がやってくる。
—そこで—
 皆さんにクイズを出そう!!「ひっかけ問題」であります。
 それもクリスマスに因んだクイズである。
「なんで、和尚の『さわやか説法』でX’masのクイズなんだ?」と、お叱りを受けることを覚悟して出します。
 このクイズは、問題が出し終ったら間髪をいれず、お答え下さい。
—では—
—出しますぞ—
「二匹の動物の名前を五回ずつ、皆さん!!声を出して言いましょう!!」
「一匹目はカモシカ。二匹目はシマウマですぞ」
「はい!!それでは」
「カモシカ カモシカ カモシカ カモシカ カモシカ!!」
—ちゃんと、言って下さいよ!!—
「次に、シマウマ シマウマ シマウマ シマウマ シマウマ!!」
「はい!!問題です!!」
「サンタクロースは、何に乗って来たでしょう?」
「ハイ!!答えてください」
「・・・・・(^_^)」
「皆さんは、何と答えましたか?」
「もしかしてぇー!!」
「トナカイ!!」って答えませんでしたか?
「トナカイはブーです」
「答えは、ソリです」
「サンタクロースは、ソリに乗って来たんであって、トナカイではあっりませぇ〜ん!!」

 これは、先に二匹の動物をくり返し言うことによって先入観を与えた「ひっかけ問題」でした。
 皆さん!!どうでしたか?
 この問題は、今の季節だけに使える限定クイズです。子ども達にも、大人達にも、特に若い女の子やスナックの女性達には、ウケますよ!!
 これは「実証済です」
—でも—
今月号の「さわやか説法」を読んだ人達には使えませんね(^_^)

—さて—
 来年はイノシシ年です。「十二支」でいうと一番最後の動物ですね。
 十二支は、ネスミから始まり、ウシ、トラ…と続いていきます。
 何で順序よく並んでいくんでしょうね。
何か理由があるのかもしれません。
 それに、私達の身近にいる動物で、皆さんのペットとして、おなじみの「ネコちゃん」が入ってません。
 どうしてでしょう?
—さあ!!—
—それがクイズだ—
「十二支クイズ!!」
と、いうより、今月号の「さわやか説法」は「十二支問題」の童話的昔話と致しましょう。

 むか〜し 昔。またその昔のことだそうな。
 ある年の12月30日。お正月まであと1日という日に、神様が国中の動物達に手紙をしたためられた。
「1月1日(いちがつついたち)の元旦に、私のところへ一番乗りしたものから十二番までに来たものを毎年、それぞれをその年の大将にしてやろう。神様より。」
 こう書いて、その手紙を窓から吹き飛ばされた。
 手紙は風にのって、山へ川へ、谷から森へと、国中の隅々まで飛んでいった。
 一夜明けて31日の朝、この手紙を読んだ動物達は一様に驚きながらも、はりきり出した。
「よぉ〜し。これは何が何でも大将にならなければ…。」
 ところが、一匹だけこの手紙を見なかったものがいた。
 それがネコだったのだ。元来がのんびり屋で、イロリの側でウタタ寝をきめこんでいたのだが、ゆっくり起き上がると、他の動物達が張り切ったり、ソワソワしているのを見て不思議そうに思った。
「なんでだろう?」
そのワケを友達のネズミに尋ねた。
—ところが—
 チューチューあわてもののネズミは、うっかり「二日(ふつか)の朝、神様のもとへ馳せ参じたものが、その年の大将になるんだ」と教えてしまった。本当は一日(ついたち)の朝なのに。
 ネコは「なぁ〜んだ。それならまだゆっくりできるわい」と、ゴロっと横になった。

 他の動物達は支度に余念がない。なんとしても一番乗りして勝ちたいと誰もが思っていた。
「さ、明日は朝は早い、今夜は早く眠ろう!!」
皆なはスヤスヤと寝息を立て始めた。
 でも、牛だけは、
「わしゃ、歩くのが遅いから、今夜のうちに出かけることにしよう」と、ノッシノッシと日も暮れないうちに出掛けようとした。
 これを牛小屋の天上で見ていたネズミは、ぴょ〜んと牛の背中に乗かった。
「こりゃ楽ちん 楽ちん。」
 そんなことを牛は、ちいっとも気づかず、一歩一歩。それこそ牛歩の如く歩き出した。
「もしかしたら、わしが一番乗りかも。ウッシッシ」とヨダレをたらした。
 翌朝、まだ暗いうちから、ほかの動物達はわれ先にと駆け出した。いぬも、さるも、ニワトリも…。
みんな神様のもとへ向かった。
—そして—
 新年の太陽がのぼりはじめた。牛は太陽にキラキラと輝く御神殿を仰ぎ見た。
「僕が一番乗りだぁー」
御神殿の扉がギッギーと開くと、ネズミは牛の背中から、ぴょ〜んと飛び降りると、ちゃっかりと神様の前にひれ伏すと、「神様!!新年明けまして、おめでとうございます」
「よ〜う。おめでとう おめでとう」
「ネズミさんが一番乗りじゃな」
 神様は、ネズミを抱き上げて喜んだ。
 牛は、悔しくて悔しくてたまりません。
「もう!!モー」
 つづいて、トラがやってきた。そしてウサギに、タツと…。次々に到着した。
 いよいよ!!神様が順番を発表することになった。
「みんな、よく来てくれた。それでは発表しよう。一番はネズミじゃな。小さいながら、よく頑張った。」
「次はウシじゃな!!」
牛は「もうー。モウー」と鳴くばかりです。
「その次からは、とら、うさぎ、たつ、へび、うま、ひつじ、さる、とり、いぬ、いのしし。十二番まで、これで決まりじゃ」
「お前さん達が、それぞれの年を表す動物の大将であり、守り神となるのじゃ」
 みんなは、ワーっと喜んだ。
 次の日、ネコがニャオニャオ言って走ってきた。
「アレ!!随分、皆なは早いねェ」
「ネコちゃん。遅いよ。もう決まっちゃったよ」
「えー。今日じゃなかったの?」
「ちがうよ、一日(ついたち)の朝だよぉ」
「それで、誰が一番のりなのさ?」
「うん。ネズミさんなんだよ」
「なぁ〜にぃ!!ネズミとな<`〜´>」
「よくも、俺にウソついたなぁ<`〜´>」
 ネコはネズミを追い回した。それからというもの、ネコは今でもネズミを追いかけるとのことである。
 また、猿と犬の間に鶏が間に入っているのも犬猿の仲をトリ持ってのことでもあるというのだ。
 めでたし めでたし。
 ということで、十二支クイズというより十二支の由来昔話は、これで、どっとはらい!!

 皆様にとりまして、来年のイノシシ年が、十二支のしんがりであろうと、猪突猛進することなく冷静に進歩する年であることを願ってやみません。
 よいお年をお迎え下さい。

合掌

 (注)日本むかしばなし101
    講談社発行 参照

 今回の十二支の由来は、あくまでも童話的昔話であります。
 十二支は古代中国からの伝来によるものであり、年回りのことばかりでなく、月、時刻、方位、陰陽、吉凶にも用いられています。
 また動物(十二支獣)が文献に現われるのは後漢の『論衡(ろんこう)』で、作者は王充(おういつ)とのことです。